仏教で「火」と言うと、灯明(蝋燭の灯)を思い浮かべます。周囲を明るく照らすその光は仏さまの智慧を象徴し、その熱は温もりとして私の固く閉ざした心を解きほぐす慈悲を象徴する・・・とお聞きしたことがあります。が、今日は灯明のお話しではありません。単純に「火」です。「Fire」です。
最近では、なるべく火を使わない生活スタイルが増えています。灯明のLED化、IHクッキングヒーター、エアコン等々。しかし、私は昔ながらの「火」を使うことをお勧めしたいのです。なぜなら、火を見ているだけで何となく懐かしく、何となく癒されるからです。そして、何よりリラックスできませんか?(子どもの頃のキャンプファイヤーを思い出してみてください)また火を使う道具は、手入れさえきちんとすればとても長持ちしますし、見た目も美しい器具が多いです。
私は珈琲が好きなので毎朝豆をガリガリして珈琲を淹れます。早朝の台所はいつも立て込んでいて、朝食やお弁当作りで忙しくしている妻の傍で、コンロを独占し豆をガリガリしようものなら、当然のことながら邪魔扱いされます。そんなとき、黙って孤独に部屋で珈琲を淹れるのです。そこで、湯を沸かす道具が必要となってきます!では、2つの湯沸かし道具に登場していただき、それぞれを比べてみましょう。
まずは妻愛用の「ティファール」。こいつはなかなか優秀です。何せ沸騰するまでの時間が抜群に早いのです。ではスタート!結果3分01秒! 早!このポットには保温機能がついているので、60度に設定しておけば30秒で沸騰します。メリットはとにかく早い、デメリットは100Vの電源がいることです。
次は愛用のシングルバーナーです。特徴として、青い炎と共に「シュゴォォォォォー」と音がします。お湯が沸くまで8分06秒かかりました。メリットは超コンパクト、デメリットは燃料がいる、沸騰するまで時間がかかることです。
沸騰時間と手軽さで比較するとティファールの圧勝ですね。たくさん売れるわけです。でも私はティファールを使いません。青い炎と音、銅のコーヒーポットに癒されるのです。要するに珈琲を飲む事がゴールではなく、珈琲を淹れる過程をも含めて私のリラックスタイムになっているわけです。何かただの道具愛の話しになりそうなので、次に参りましょう。
私は焚き火が大好きです。焚き火の前でのゆっくり流れる時間は、私にとって何にも代えがたいリラックスタイムです。皆様最近焚き火をされましたか?日本人なら誰もが知っているであろう「たきびだ たきびだ おちばたき~♪」の焚き火です。私が住んでいるところは田舎ですのでしようと思えばいつでもできますが、自治体によっては禁止されていることがあるので要注意です。自宅の庭でも廃棄物処理法・消防法などによって規制または禁止されています。煙も出るので、火事と間違えて通報されたら一大事です。残念ながら、昔のように焚き火の炎を見つめながらボーっとすることはとても難しい時代になってしまいました。
私の叶えたい夢のひとつに「薪ストーブ導入」があります。薪ストーブは環境にもやさしいといわれています。木は二酸化炭素を生長の過程で吸収し、そして燃やす事によって二酸化炭素を空気中に戻しているのです。何よりも焚き火を家の中でできるじゃないですか!揺れる炎をゆったりと眺めながら、珈琲を片手にパチパチと薪のはぜる音に耳を澄ます・・・あぁ・・・エアコンやファンヒーターではおそらくこうはいきませんよ。(ただし薪を準備する事は重労働間違いなし)
現代社会では「火」を使わずとも生活できます。特に都会に住んでいる方々にとって「火」は遠い存在になりかけています。でも私は「火」が忙しい日々に癒しを与えてくれる存在だと信じています。この「火」に対する思いが男特有のものかと心配になったので、妻に聞いたところ「薪ストーブ欲しい、うち寒いから!」との一言を頂戴しました・・・。冬真っ只中、皆様どうぞ「火」を使い「火」を見ながら暖かいスローライフをお過ごしください!
※乾燥しやすい季節でもありますので、火の取り扱いには十分にご注意ください!
執筆者 和泉裕生