今回は、2020年に創立100年を迎える浄土真宗本願寺派の宗門校である中央仏教学院について取り上げてみたいと思います。
西本願寺のお坊さんといえば「龍谷大学」出身者が多い中、この中央仏教学院でお坊さんになった方もたくさんおられます。ちなみに私もその一人ですが、私の場合、仏教とは直接関係のない大学に進み、卒業期を迎えて進路に迷っていたところ、ある住職のひと言がご縁となりました。私の祖母の従弟 故・豊浦順海住職(比婆組円光寺)の一言です。
「あんた中仏へ行きんさい」
入学するきっかけはこの一言に尽きるのですが、今になって考えれば「この道を行けよ、この道を行けよ」と仏道を勧めてくださったお釈迦様の発遣と重なるものがあります。豊浦先生にはその後もお世話になることになり、憧れの先輩であるとともに、今でも感謝する人の一人です。
中央仏教学院へ入学する人の大半が、なんらかの出来事、どなたかの進言によって入学されていました。例えば私の親友の一人は、たまたま結婚する相手がお寺の後継ぎ娘だったこと(このパターンが結構多い。きっかけがきっかけだけにやたらと頑張る)。もともと門信徒の方で所属の住職に勧めてもらって勉強に来た人。そして外国から浄土真宗の魅力に魅かれて入学した人(その後ネパール開教地カトマンズ本願寺の初代開教事務所長となるソナムさんもその一人で、昼休憩によくバレーボールをして遊んだ)等。あの時、もしも別の道を歩んでいたら・・今の私はありません。それぞれが、それぞれのご縁をいただいて集まった人たちです。
中央仏教学院には、通学制の本科、研究科、予科と、京都から離れた地域でも浄土真宗が学べる通信教育部とがあります。最大の魅力は年齢幅がすごいことです。若い方は18歳から年配は90歳くらいの人が一緒になって浄土真宗を学びます。そのせいか、講師陣や職員は皆温かく、大きな家族みたいな雰囲気がありました。善導大師のお言葉「広開浄土門(誰に対しても浄土の道は開かれている)」の精神でしょうか。入学手続きと試験はありますが、学院の扉は入門を求める者たちに広く開かれていました。
大正9年に本願寺境内で開校され、移転の後、現在の京都市右京区に校舎を構え、数多くの方に浄土真宗のみ教えを広め受け継がれてきました。私が入学したのは2001年。すでに新校舎となり、新しい寮が設けられていました。人生を180度方向転換し、「仏門に入る!」ということで、かなりの覚悟で入学、入寮したのですが、大体そういう意思が長続きしない私です。生活に慣れ、仲間ができるにつれて、元通りの体たらくな自分がしっかり顔をのぞかせました。しかし振り返れば、善き師の進言により浄土真宗を学ぶご縁をいただいたこと、寮のおかげで規則正しい生活と善き先輩と学友にであえたことが、私にとってその後の人生において大きな宝物になりました。
2001年は、たまたま創立80周年記念法要が勤まる年でした。ご門主様ご臨席の記念法要の導師を勤めた学生。それが私です(これが言いたかった!)。指導講師には、「ご門主様以外全員野菜だと思え」と緊張をほぐしてもらいました。
その中央仏教学院が、今年創立100周年を迎えます。
「学びの窓から新たな未来へ For the future」
素晴らしい学び舎が、これからも浄土真宗を相続していく人々を多く輩出されることを念じております。
執筆者 藤井晃宣