ひと夏のいのち

今年の夏、長男が保育所の友達からカブトムシを1匹譲り受け自宅で飼育することになり、急遽かごやエサなど一式の飼育グッズをそろえて我が家に迎えました。

初めてみる本物のカブトムシに興味津々の子どもたち。さっそく長男が「カブちゃん」とかわいらしい名前を付けてくれました。ですが最初は怖くて飼育かごに手を入れること、カブちゃんに触ることもできず、ただじーっと覗くだけ、掃除やエサの入れ替えは私や妻がしていました。しかし徐々に時間が経つにつれ、「僕がやる!」と、カブちゃんの世話をこどもたちが率先してしてくれるようになり、今では保育園から帰ってきたら「カブちゃんただいま!」、寝る前には「カブちゃんおやすみ!」と、家族のように大切に育ててくれています。

先日の夜、いつものようにエサの入れ替えをしていた長男が、「カブちゃんなんか元気ないね」と心配そうな声で話しているのが聞こえてきました。かごの中を覗いてみると、夜になるとかごの中を飛び回っていた最初の頃に比べると、たしかに元気がなく、動きが鈍くなっているように感じました。

カブトムシは、飼育環境や個体性別により多少の違いはあるそうですが、成虫になってから平均で2~3ヵ月の命だそうです。弱ってくると徐々に動きが鈍くなったり、エサを食べなくなる、よくひっくりかえってしまうなどの兆候がでてくるようです。

その晩の長男はなかなか寝付かず、
「カブちゃん大丈夫かなぁ、死んでないかなぁ」
「心配じゃけぇ、ちょっと見てくる」と、寝室からリビングに置いてある飼育かごを何度も確認していました。次の日の朝、起きたら真っ先に飼育かごのなかを覗き込み、「カブちゃん生きとる!」と、満面の笑顔で私に駆け寄ってきました。

5歳の長男がカブちゃんの世話をしながら何を感じどう思っているのかは、親である私にもすべてはわかりませんが、今のカブちゃんとの時間が、彼なりに限りあるいのちの尊さに触れる大切なご縁になっているのではないかと思います。

すべての物事は常に移り変わり、ひと時として同じ状態を保つことはできず、この世に生を受けたからにはいつかは死を迎えなければならない、私たちのいのちも同じです。明日あるかも分らぬいのち、今日という一日を大切に過ごし、多くのお支えのなかで生かされていることに感謝することこそ、いのちの尊さに気づかせていただくことであろうと思います。

このコラムを書かせていただいている8月下旬、今日の夜も子どもたちがカブちゃんにあげる昆虫ゼリーの色で喧嘩しながらではありますが、きっちり世話をしてくれています。たとえひと夏の短いいのちだとしても、精一杯生きるカブちゃんとの時間を子どもたちと一緒に大切に過ごしていきたいと思います。

筆者 米沢 友樹

備後弁伝道ポスター作りました!

仏教の教えや人生訓などを伝えるお寺の掲示板が各地で注目を集めています。SNSでは「輝け!お寺の掲示板大賞」という取り組みまで始まっています。

この度、備龍会においても

「温もりあるご法義が身近な言葉で伝わるように」

との思いから、馴染みのある備後の方言を使ってポスターを制作いたしました。

ポスターは、備後の魅力ある景色を背景にして、下部に言葉の解説を入れています。
A2サイズで「縦置のもの3種類」「横置のもの3種類」の「6枚1セット」となっております。

備後教務所にて1セット200円で販売しております。
また、郵送を希望される方は送料として400円が別途必要(振り込み手数料購入者負担)となります。
郵送をご希望の方はお問い合わせください。

お寺の掲示板をきっかけに、寺院と仏教に関心をもってもらえる一助になると嬉しいです!

 

「こらえとる以上に こらえてもろぉとったのぉ」

 

「悲のにゃぁところに 阿弥陀はたたん」

 

「いぬるところがあるけぇ はぁ 安心じゃ」

 

「言葉にできん悲しみがある じゃけぇ人は泣くんじゃろ」

 

「いつでも こけぇ おってくださる」 

 

「まぁ そがに はぶてんさんな」

 

以上の6種類となります。こちらの画像につきましては、ご自由にお使いください。