永遠の少年

言わずと知れたカンフーアクションのヒーローであるジャッキーチェン。数々の映画やドラマに出演し、優れたアクションシーンやユニークでコミカルな演技で老若男女を問わず楽しませてきた俳優の1人でしょう。
私が小さい頃はテレビ映画が盛り上がっていたこともあり、繰り返し放送されていたジャッキー映画に小さいながらお茶の間で笑っていたものです。

今回はそんな彼の熱烈なファンボーイである私が彼の魅了でもある小話を一つ紹介させてもらおうかと思います。

ジャッキーチェンといえば慈善活動にとても熱心なことでも知られていますが、なぜこれほどまで真剣に慈善活動に取り組むようになったのか?
彼は20代始めに急に俳優として売れはじめ、買い物、飲酒、女性遊びにうつつを抜かすようになりました。女性に至っては花に群がる蝶のように振り解こうとしても振り解けないほどだったそうで、丁度この頃に慈善活動に協力してくれと言ってくる人がいて、「香港の環境児童医院に、あなたに会いたいという子どもがたくさんいる」と何度も頼まれていました。

しかしジャッキーは毎晩のように酒を飲み、朝はとても起きられないと断っていましたがあまりの頼みに折れて、一度くらいならと思って児童医院を訪問してみたところ、その様子にとても衝撃を受けたそうです。
それは彼の自伝である『永遠の少年』にこんなことが書いてありました。

「子どもたちの様子をみるととても悲しくなった。部屋に入るとすぐに僕を囲んでくる。強い薬の匂いがした。子どもたちは『大好き。ほんとに大好き。触っていいですか』などと言っている。胸を打たれる思いがした。」病院のスタッフの話しを聞くと穴があったら入りたい気分になった。

と自身の自伝に綴ってありました。それから彼はやましさから解放された気がし、救われたような気持ちになり、慈善活動を行いはじめるようになったと言います。

彼は今までの自分に恥ずかしさを覚え天狗になった鼻っぱしを折られたことでしょう。この自伝を読んだ私は当時、ショボショボに泣いて、ますますジャッキーが好きになりました。

親鸞さまは自分中心、我が都合の私たちを凡夫とおっしゃっております。
凡夫である私が日々の暮らしの中で天狗になったときは、親鸞さまはもちろんのこと、このジャッキーチェンの話も思い出して私の目指すユーモア溢れ、子どもたちに愛されるようなステキな僧侶男子になれるよう努めていきたいと思うばかりでございます。

著者 宮 翔