先日のこと。
副会長(広報部長)からの一報。
「ずいえんさん、コラムの執筆お願いします。」
「執行部の任期も終わりですし、書いてください。」
彼との付き合いは学生時代から。過去私の方からたくさんの無茶振りをして来ました。断る理由が見つからず、
「オッケー、、、です。」
昭和48年6月に定められた備龍会の会則(目的)第二条には次の様に記されています。
この会は、教区内青年僧侶(二十〜四十五歳)相互の親睦交流をはかり僧侶としての自覚を高め、派内寺門内外の問題を研修し教法の弘通に資し相互発展に努めることを目的とする。
私が生まれたのは昭和54年の6月。その6年前に発会した備龍会。2年後の令和5年に結成50周年を迎えます。
これまで先輩諸氏が取り組まれた活動は数知れず。そのご功績をそれぞれの執行部が2年毎に引き継ぎ、移り変わる時代の流れに合わせて、より良い活動へと発展させ導いてこられました。試行錯誤の上築いてこられた伝統が今、この令和の時代に受け継がれています。
各種研修会や公開講座、特別養護老人ホーム「ふれあい」ダーナ活動等々、活動は多岐に渡ります。その中でも当会の代表的な活動の一つに、みのりせんべいの販売事業があります。
今から11年前、教区報という備後教区教務所発行の広報誌にみのりせんべいの特集記事を掲載することとなり、その際私が取材し、記事にしたものがあります。
少し長いですが、掲載されたそのままをご紹介します。ご一読ください。
もう一度申します。11年前の記事です。
最近「みのりせんべい」を食されただろうか。教区内を中心に多くの顧客を持つみのりせんべいだが、製造元の変更等により機材の整備が遅れ、ここ数年売り上げが伸び悩んだ。しかし、製造元のたゆまぬ努力により、製造工程を確立し、ようやく軌道に乗り始めた。みのりせんべいの現状を製造元にて取材した。
煎餅を焼く何とも言えない香ばしい、ほのかな香りが辺りに漂う。
ここは、福山市にある「しんふぉにい」の作業場である。ここで焼かれているのは、「みのりせんべい」である。決して広いとは言えない二部屋ある作業場で、効率よくみのりせんべいが焼かれ、確認作業の後、袋詰めにされていく。休日を除き、毎日午前10時から午後1時30分まで作業が進む。機械の温度調節等の理由で機械を停めることができないため、みのりせんべいの製造は交代制で休みなく続く。一回の製造工程に、みのりせんべいに焼き印を押す等の焼く作業、焼き具合の確認作業、袋詰めの作業に合計7名の方が携わる。作業場の中は高温で、夏場はかなりの重労働であることが想像できる。しかし、私語一つない厳粛な雰囲気の中で一つ一つ丁寧に仕上がっていく。みのりせんべいは、このような製造工程の上で作られている。
みのりせんべいの歴史を辿ると約30年前に遡る。教区内青年僧侶の会「備龍会」の発案で企画され、現在も備龍会事業の一環として教区内を中心として広く知られている。数年前までは長年にわたり「山口製菓所」により製造されていたが、店主がご高齢のためやむなく製造を中止することとなった。その後、いくつかの候補の中から、しんふぉにいに製造を委託することになり、現在に至る。
しんふぉにいは大阪の製菓所へ製造工程を学びに行かれ、みのりせんべい独特のサクサク感、香ばしい風味を研究された。しかし、しんふぉにいに製造が移った当初は製造ラインが一箇所しかなく、なかなか製造が追いつかず、しばしば各寺院等からの注文に対応ができない事態が起こった。また、みのりせんべい自体の味が変わった等の意見もあり、販売数を伸ばせずにいた。そのような厳しい状況の中、注文に追いつけなかった製造ラインは、同じく法人の作業場である「青葉」において、新たに機材を購入し、各寺院で主に永代経が勤まる4~6月、報恩講が勤まる9~12月あたりの、注文が殺到する時期にも対応できるようになった。
この様な状況を踏まえ、備龍会では新たな目標、試みを掲げる。例えば、現在では教区内での販売が中心だが、みのりせんべいを通して浄土真宗のお法りが広まることを願い、販売する範囲を拡大し、そのための広報活動を模索中である。また、各寺院での法要の供物として寺院関係者が利用しやすいように、パッケージ色のバリエーションを増やすこと、注文する側のニーズに応じた枚数、価格帯の変更なども検討されている。
現在の価格帯は別表を参照して頂きたい。申込み、問合わせは直接しんふぉにいまで。別途送料がかかるが、発送していただける。教務所でも申込み可能。先に述べた法要が多く勤まる時期で、注文数が多い場合はなるべく一か月前までには注文していただきたいとのこと。また、寺院名等をみのりせんべいに焼く場合の焼き印は、17000円前後で作製できる。お申し込みは直接しんふぉにいまで。
丁寧に、真心をこめて製造されているみのりせんべいには、昔も今も“ありがとう”“すみません”“どうぞ”と焼き印が押されている。何気ない言葉かもしれないが、現代の人々が忘れかけている言葉だろう。またパッケージには“身は食で こころは法で 生かされる”と記されている。私に真実の心を伝えてくれる“お法り”の種が、みのりせんべいには満ち溢れているように思えてならない。
(2010年発行『備後教区報』第136号)
過去の記事を長々と読んでいただきありがとうございました。こういった経緯の中、現在も社会福祉法人一れつ会しんふぉにいさんに製造を委託しています。
さて、記事の中で
“各寺院での法要の供物として寺院関係者が利用しやすいように、パッケージ色のバリエーションを増やすこと、注文する側のニーズに応じた枚数、価格帯の変更なども検討されている。”
とありました。
あれから11年。
平成27年に若干の価格変更がありましたが、パッケージ色のバリエーションを増やすこと等は時折話題に挙がっても、中々前に進みませんでした。そこには理由があります。当会の活動は多岐に渡る上、執行部は2年に一度体制が変わります。その都度みのりせんべい担当会員よりきちんとした報告は挙がりますが、しんふぉにいさんと当会双方で現状把握も含めて、じっくりと話し合いの機会を設ける余裕がありません。現執行部が2年前に引き継いだ当初も同様でした。
そこに訪れたコロナ禍。
昨年の3月から当会の活動の大半が中止を余儀なくされました。中止の決断に至るまで、開催を前提としての企画立案、検討etc.担当する各部長(副会長)、副部長、事務局長、会計、幹事、会員がギリギリまで思案し、奮闘してくれました。
新たな試みとして今年度の公開講座は、ZoomとYouTubeを活用してオンラインで開催しました。
冒頭の会則に則り、コロナ禍の厳しい状況で今我々に何が出来るのか。幾度となくオンライン会議を開き、話し合って来ました。
その結論が、
みのりせんべい事業の見直しでした。
しんふぉにいさんも交えて話し合いを持つ中に、現状をお聞きし、懸案事項であった消費税の増税、原材料の高騰に伴う価格変更、袋の新色パッケージについて検討することとなりました。
社会福祉法人一れつ会の相談役、しんふぉにい製造担当者、経理担当者の方を交えて、ソーシャルディスタンスに配慮しながら3回の会議を持ちました。先方のご事情や現状、製造くださる施設利用者さんのご様子等もお聞きして、話し合いが行われました。
当会が把握できていなかったことも多々あり、また当会の在り方、現状も改めて先方へお伝えすることが出来ました。
長々と書きましたが、結論を申します。
① 現行の3枚入りを2枚入りとすることにより、価格は据え置きとさせていただきます。
※2枚入りのサンプルを確認し、内容量としてもちょうど良い感じでした。
②現在のみのりせんべいパッケージ(袋)はそのままに、新色を2色追加します。 新色は、法要などの荘厳(供物のお飾り)に用いやすいことも想定しています 。
※味と風味はそのままです。
③販売方法については新執行部の意向を配慮し決定させていただきます。
このコラムを書いている現在、先方と詰めの段階を迎えています。6月中旬には、決定した詳細を正式にお伝えさせていただきます。
最後に、現執行部は今月の総会を持って任期満了となります。
コロナ禍において、結成50周年に向けて会員相互の親睦交流をはかれなかったこと、卒業される先輩方をきちんとした形でお祝いできなかったことが心残りです。
仕方のないことかもしれませんが、申し訳ない気持ちで一杯です。
この2年間、OB・現役を含めてたくさんの諸先輩にご助言や激励をいただき、大変心強かったです。
また、事務局長をはじめ、執行部、役員、幹事、会員それぞれが、責任を持ってこの状況下で奮闘、活躍しました。スマートな指揮を取ることが出来ない私を支え、個々のスキルアップを果たしてくれました。
この場でお伝えするのもどうかと考えましたが、心から厚く感謝申しあげます。
本当にありがとうございました。
そして、当会は2年後に結成50周年を迎えます。
30代、20代に次世代を担う個性的で魅力あふれる会員がたくさんいます。今後の見通しを立てにくい状況下ではありますが、次の執行部を陰ながら支え、先輩諸氏、会員一丸となって周年行事を迎えたいと思います。
有縁の皆様、
今後とも備龍会へのご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申しあげます。
執筆者
備龍会第24代会長
浄福寺副住職
山下 瑞円