4月に入り、暖かく過ごしやすい日が増えてきました。日中は上着もいらないほどで、1歳の息子と遊んでいると少し汗ばむ日も増えてきたほどです。
実は、息子が生まれたら是非に…と思っていた”ある行事”をしたく、去る3月15日、京都の西本願寺へお参りしてきました。さて、ある行事とは?
そう、タイトルにある「初参式」です。
初参式とは生まれて初めてお寺にお参りさせていただき、阿弥陀様と御縁を結ぶ素晴らしい行事です。神社へお宮参りに行くように、お寺にも初参式に参るという行事があるのです。
本来であれば1歳前にご報告に行きたかったのですが、緊急事態宣言下ということもあり解除を待って1歳9ヶ月でのお参りとなりました。
本願寺に着いてまず驚いたのは…なんと人が少ないこと!いつもなら沢山の参拝の方や観光客の方がおられるのですが、海外のお客様の姿どころか日本の方々もほとんどいらっしゃいませんでした。コロナの影響とはいえ普段の様子を知っているだけあり、少し寂しい気持ちになりました。しかし、敢えて人が少ないタイミングで参るということは、生まれて間もない小さな赤ちゃんも安心して連れてこれる良い機会でもあると感じました。
まず、御影堂(ごえいどう)の左手、一番奥の龍虎殿(りゅうこでん)にて初参式の受付をします。周りを見渡すと私ども含め三家族が参られていました。お子様はベビードレスの上から産着、ご両親はスーツやワンピース等。初参式と言ってもどんな格好で行けばいいの?と思われがちですが、お宮参りに行くように初参式でも同様の格好の方がほとんどでしたので、どうぞ安心して参ってください。
受付の後は御影堂に案内していただき、お勤め・ご焼香・ご法話の順で進みます。一家族毎に分かれてご焼香をするので、そのタイミングで写真撮影も出来ました。終わってからは家族毎の写真も撮って貰えるのでカメラをお持ちの方は是非持っていくことをおすすめします!
しかし、大きくなってからのお参りはまた良いものでして、毎朝お仏壇に「なむなむ」と手を合わせている息子は御本尊の前でもしっかりと手を合わせ、頭を下げ、目をつむり、少し大きめの声で「なむなむ」と言ってくれました。ご焼香の際も慣れた手付きで自ら進んでやっている姿を見て、毎朝しっかりとお勤めしてくれているんだなあ。妻が進んでやってくれたおかげだなあ、ありがたいなあ。と妻と息子へ感謝の気持ちがこみ上げると同時に、そういった気持ちになれたのは一重に阿弥陀様との御縁あってこそだということを改めて感じることができました。
お式が終わり、後は記念品を頂くのかな?と思っていたら、なんと!書院や能舞台など普段入れない国宝や重要文化財の中を案内していただけました。成り立ち、どういう人物がどういう意図で作ったか、能舞台はここならではの〇〇で演者泣かせだった(〇〇は行ってからのお楽しみ)等、普段では知り得ないことを丁寧に教えていただき、子の初参式ではありますが、大人の私達もまた、多くのことを学ぶ大変素晴らしい時間を過ごすことができました。
お茶席では先程案内頂いた能舞台とは別の美しい能舞台を見ながら、銘菓松風と共に本願寺専用のお抹茶を、子どもはジュースを頂き、お式でのシャンとした気持ちを優しく解きほぐすことができました。その後、再び書院等を案内頂き、最後に記念品としてお念珠やお念珠袋等を頂いて終了となりました。
念願叶って参れたこともですが、息子はもうすでに阿弥陀様との御縁を毎日頂いていたこと、日々手を合わせて「南無阿弥陀仏」と称えていたことが今回のお式で生きてきたなあと嬉しく思います。
今回私どもは西本願寺に参る御縁を頂きましたが、遠方で行けないという方、ご安心ください。お近くのお寺でも初参式を受けることができますよ。ただ全てのお寺でやっているわけではないので、お世話になっているお寺がある方はそちらに確認されたり、また、お近くのお寺へ聞いてみられてはいかがでしょうか。生まれてすぐ阿弥陀様とご縁を頂くことは、またとない貴重な経験でございます。お子様はもちろん、大人にとっても大切なご縁になると思います。私自身この度の初参式に参らせていただき、改めて阿弥陀様とのご縁を仰がせていただく機会になりました。どうぞ初参式に参られてみてはいかがでしょうか。
執筆者 立神智弘