11月2日に「やさしく学ぶ正信偈 七高僧編」の第1回目の講座を開講致しました。ご講師の龍谷大学教授 玉木興慈先生にはご自身の研究室からライブ配信をしていただき、その映像を備後教堂、御調東組浄泉寺様、世羅組正満寺様の3つの会場に設けたスクリーンに映す形で進行致しました。この新時代の講義形式のおかげで京都におられる先生のご講義を備後にいる私たちがリアルタイムで、それも複数の会場で同時に受講することが出来ました。
第1回目の講座では龍樹菩薩を讃える文「信楽易行水道楽」を中心にご講義を賜りました。第1回目ということもあり、まずは七高僧とはどのような方々なのか?という解説をいただき、その上で「正信偈」の中から龍樹菩薩を讃えられた箇所を取り上げ、龍樹菩薩が明らかにされたみ教えについて学ばせていただきました。
その中で特に印象に残ったのは「浄土真宗のお坊さんは「難易二道」をどのように受け止め、人に伝えていくのか?」という問い掛けでした。
龍樹菩薩は自分の力によって覚りを得ようとする仏道は「陸路を歩いて進むかの様に苦しくて難しい道(難行道)」であり、対して阿弥陀様に全てをお任せするお念仏の仏道は「大きな船に乗せていただいて、水路を進むかの様に楽しくて易しい道(易行道)」であると仰いました。浄土真宗はこの易行道を歩ませていただく仏教でございます。
しかし、その仏道を歩む中で人からこのような指摘を受けたなら、皆様はどう答えますか?
「浄土真宗は難しい道から逃げて、楽をしているだけなのでは?」と
玉木先生は仰いました。「この指摘を受けた時、痛いところを突かれたと感じて、目を背けるのは良くないことです」と。なぜなら私たちにとっての難行道とは“頑張れば出来る”という道ではないからです。頑張れば出来ることをやらなかったのであれば、それは逃げたと言われても仕方のないことでしょう。けれども、私たちには難行道を成し遂げて覚りを得られるような能力は備わっていません。難行道から易行道に逃げたのではなく、そもそも私たちが救われる道は易行道しかないのです。
そんな私たちが、今まさに易しいお念仏の道を歩ませていただいていることを、またその道を龍樹菩薩が明らかにしてくださったことを、自信をもって「ありがたいことです」とよろこばせていただきましょう。南無阿弥陀仏。
当日は新たな講義形式でございましたが、3会場共に多くのご参加を賜りました。また玉木先生におかれましても、ご多忙のところ大変貴重なご講義を賜り、誠にありがとうございました。備龍会会員一同深く御礼申し上げます。
次回の講座は【天親菩薩を讃える文「為度群生彰一心」を中心に】と題しまして、12月22日(水)に同3会場にて、同じ講義形式で開講致します。皆様のご参加を心よりお待ちしております。