三原市久井町の光徳寺さまの「声明×雅楽×落語×キャンドルの夕べ」にお参りしました。

10421098_719072784870815_3407594009605494122_n (1)「おてら日和。」の記念すべき第1回は、三原市久井町の光徳寺様へ行ってきました。
私たちが訪れたのは降誕会の法要で、「声明×雅楽×落語×キャンドルの夕べ」をテーマに勤修されます。チラシからも何やら楽しそうな香りが漂ってくるようです。

※降誕会というのは浄土真宗を開かれた親鸞聖人のご誕生をお祝い申しあげる法要です。


山陽自動車道三原久井インターを降りて、車で15分ほど走ると光徳寺様に着きます。

少し早くに着いたので周辺を散策していると、「久井の岩海」という看板を見つけたので立ち寄ってみることにしました。

ダウンロード (5)

地質に関する三原市唯一の国の天然記念物だそうです。

ダウンロード (6)

林道を抜けると、雄大な岩海が広がります。

ダウンロード (7)ダウンロード (8)

森林の爽やかな香りのする、とても静かな場所で、巨岩が重なり合って川のように続く景観は壮大で見ごたえ十分!〝一見の価値あり〟です。


 

岩影に身を潜めながらのかくれんぼに夢中になりすぎた私たち取材陣は、いつの間にか予定時間を超過し、慌てて本来の目的地である光徳寺様へ向かいます。

田園風景が広がる中に大きな阿弥陀様の石像が見えてまいります。

ダウンロード (9)

久井町は豊かな自然に恵まれています。
野鳥のさえずりとカエルの鳴き声が私たちを迎えてくれました。


お寺に入ると門徒接待所でキャンドルのワークショップが開かれていました。
本当はキャンドル作りに参加させていただく予定でしたが、「岩海」でハシャギすぎて時間がなくなってしまったので見学だけです。

子供たちはキャンドル作りに興味津々!
でも実際夢中になっているのは親御さんだったりします。

image12

image2 (2)

写真のチャーミング女の子は、ご住職の長女「よりこちゃん」です。
「わたしはキャンドルの魔術師よ~♪」の掛け声がなんとも可愛らしい。


 

ダウンロード (13)

境内ではキャンドルナイトの準備をされています。
手がけるのはキャンドルアーティストの『CANDLE/FURU』さん。
お話を伺うと、降誕会への参加は今年で3年目ということで、日ごろは広島 呉市広でレストラン経営と、手作りキャンドルの制作&販売をされているということです。
これはぜひ1度行ってみたい!

『CANDLE/FURU』さんのブログ http://ameblo.jp/candle-furu/


まずはご住職に挨拶をしようと、お寺に入るとご住職の藤田徹信様がY字バランスでお出迎えしてくださいました。法要前に柔軟して身体をほぐされるようです。

ダウンロード (14)


法要開始15分前にご住職がお勤めの説明をされます。
ご住職は「備後教区勤式指導員」をされており、分かりやすくいうと、

「備後地方代表、お経や仏事作法のスペシャリストお坊さん!」

いつ聞いても惚れ惚れする美しい声で、参拝者を魅了されます。
今日は「らいはいのうた」という勤行で、そこに雅楽がコラボレーションして華やかに勤まるということで期待が膨らみます。

仏華は、ご住職が、西本願寺・大谷本廟の仏華を立てていらっしゃる開明社「花新」さんより直接学ばれて生けられたものです。
「笠真の松一式」 実にすばらしい!実に大きい!

ダウンロード (15)


法要始まり合図の鐘が鳴り響くと、雅楽奏者が本堂に入ってこられました。

ダウンロード (16)

美しい音色が鳴り響く中、ご住職が入堂されます。

ダウンロード (17)

ご住職の美声が本堂内に響きわたります。

「きーみょーう むーりょーう じゅーにょーらーいー」

「あれ?」

参拝者一同が顔を見合わせます。
なぜならお勤めが「らいはいのうた」ではなく「正信偈」というお勤めではありませんか。
しかし、皆さん別段慌てる様子もなく「正信偈」をご唱和いたします。
お勤めが終わるとご住職が説明に来られました。

「たくさんの皆様にお参りいただき、雅楽の音色に感動しながら、親鸞聖人様のご生涯に思いをよせておりましたら、気がつくと正信偈を称えていました。本当に申し訳ありません。」

参拝者から笑いが起こります。

正信偈は親鸞聖人が著述された書物の一部で、浄土真宗のみ教えを簡潔に示された讃歌です。
降誕会に親鸞聖人に感謝し、思わず正信偈のお勤めが口から出てしまったというご住職の言葉に、参拝者の顔も自然と朗らかになります。
ご住職の優しい人柄、そして、日ごろからご門徒の方とご住職があたたかい関係で結ばれていることが感じられる一幕でもありました。


お勤めが終わると、外も少し薄暗くなり、キャンドルに火が点され美しく浮かびあがります。

ぬくもりのある彩光が境内を包んでいきます。ダウンロード (23)

 

ダウンロード (18)  ダウンロード (20)


本堂では景気の良いお囃子が流れてきました。
落語は、前住職の藤田徹文様が始められてから、今年で18回目を迎えるそうです。

始めは笑福亭喬楽さんの「みかん屋」

ダウンロード (21)

次に笑福亭生喬さんの「三十石」

ダウンロード (22)

若い方から年配の方までお腹を抱えて笑っておられました。
喬楽さん生喬さんのお師匠は6代目笑福亭松喬さんです。光徳寺さまでの落語は、師匠と前住職さまとのご縁から始まり、師匠亡き後もご縁は繋がり今日の席があるとのことでした。なんともありがたいご縁に会わせて頂きました。
落語が終わり、「来年も楽しみにしてますね」とご住職と言葉を交わされ、皆さん、今にもスキップをしそうな雰囲気をかもし出されながら帰られました。


 

厚かましい私たち取材陣は、ご用意くださった手作りレーズンケーキをいただきながら、ご住職との楽しいおしゃべりに移ります。

歓談の中でご住職が、
「久井は自然豊かで、空気は美味しいし、空も青く広く、夜には満天の星が輝きます。〝田舎〟と言ってしまえばそうなのですが(笑)、とても良いところです。
しかし、年々進む過疎化を目の当たりにしておりますと、お寺に自然と人が集うことが難しくなってきていると強く感じます。
お寺は、誰もがそこにいてもいいという拠り所であると思っていただけるように、また、遠くへ出られた方にも〝ふるさと〟のように帰れる場所でありたいと思っています。
お念仏をよろこばれた多くの先人方に感謝しながら、またお法をこれからも伝えていけるように、時代に合わせた新しい取り組みも積極的に行っていきたいです。」
という思いを聞かせていただきました。

このあと落語家さんたちとの食事会をされるということで、私たちにも「ぜひ、ご一緒に!」とお誘いいただきましたが、夜も深くなったので泣く泣くお断りし光徳寺をあとにしました。

さて、次回はどこのお寺でどんな出会いがあるのでしょうか。
これから、備後のお寺が放つ魅力的なところをどんどん紹介していきますので、どうぞお楽しみに!