今シーズンで引退することとなった黒田博樹投手の座右の銘「耐雪梅花麗」。
元々は西郷隆盛が詠んだ詩の一句で「梅花は寒い冬に耐え忍ぶことで春になると一番麗しく咲く」という意味である。
挫折だらけの野球人生の中で這い上がってきた黒田投手そのものを現す言葉だろう。
それは25年間優勝を待ち続け、耐えて耐えてついに花を咲かせた今年のカープにもぴったり当てはまる。
ここ数年カープの人気はすさまじいものだ。カープ女子。カープ芸人。色々なコラボ商品。更にはカープ仏壇なるものも登場した。
数十年前までは地元だけの盛り上がりでしかなかったが今や全国区の人気である。人気は球界のトップクラスであるが優勝となるとなかなか手が届きそうで届かなかった。
今年のペナントが始まる前、恒例の野球評論家による順位予想、大方の予想は4位5位。優勝候補にするのはカープのOBぐらいだった。
そんな中、今季大ブレークしたのがプロ4年目の鈴木誠也選手。
オリックス戦、6月17日・18日と2日連続のサヨナラアーチ。さらに19日にも決勝ソロホームランを放ち、本拠地で3日連続のお立ち台に上がった21歳の若武者は「最高で~す!」と何度も絶叫した。
その活躍ぶりから緒方監督が放ったひとこと「神ってる」。
最初聞いた時、どういう意味なのか分からない方もいたのではないだろうか?しっくりこない方も少なくないのでは?いわゆる若者ことばである。
これは「神懸っている」を省略した言葉で、「神懸る」は神が乗り移っているかのような、普通ではありえない状態を示す言葉。特に普段は想像もできない大活躍をした人や凄まじい成果を残した人に使われるようだ。
もし流行語大賞に選ばれたなら受賞するのは「神ってる」発言をした緒方監督か、「神ってる」男鈴木誠也選手か、どちらになるのか?
カープは鯉のぼりの時期までとよく言われていたが、今季は怒涛の勢いで6月には11連勝を遂げると、あれよあれよという間に一気に頂点へ駆け上がり、大方の予想を覆した。
そして9月10日、ついに25年ぶり7度目の セントラルリーグ優勝 を決めたのだ。
深夜の本通りでは道行く人々がハイタッチでねり歩き、「宮島さん」の大合唱♪
ある方は、新井選手に似ているというだけで胴上げされ、ファンならずとも狂喜乱舞した。(気になる方は検索してみてください。新井選手ソックリです(^^♪)
翌日からは優勝セールなど、今年のカープが広島にもたらした経済効果は331億円にものぼる。
私も恩恵にあずかろうと街へと繰り出してみたが人・人・人・・・人込みをかき分けて歩くだけで精いっぱいだった。
ファンのボルテージも最高潮まで達し、カープイベント・パブリックビューイングなどいたる所で行われた。
備龍会の会員のお寺、崇興寺ではクライマックスシリーズ・日本シリーズと本堂でパブリックビューイングが行われていた。地域に開かれた寺院を目指し、少しでもお寺へ来るきっかけを作り、尊いご縁にあってもらいたいというすばらしい企画である。大いに盛り上がっていた。
「仏(ぶつ)ってる」 とでも言うべきか(^-^)
惜しくも日本シリーズでは悔しい結果にはなったが、期待・喜び・感動・・・・この1年間カープが私達に与えてくれたものは計り知れない。
新井選手の2000本安打・300本塁打に黒田投手の日米通算200勝達成も成し遂げられ、大いに楽しませてもらい、夢のようなシーズンだった。
今シーズンの喜びと悔しさ。この経験はさらなる力となり未来へ繋がっていくであろう。
来季も自慢のボールパークで一喜一憂し「ぼくらのカープ」と共にさらなる頂きを目指そうではないか!
筆者 河村祐昭