消防団

3月のコラムを担当致します、岡部です。
現在、福山市藤江町消防団5班の部長をしています。

※消防団とは、常勤の消防職員とは異なり、火災や災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、その地域での経験を活かした消火活動や救助活動を行う、非常勤の特別職地方公務員です。

お寺も消防団も地域の方の協力がなくては成り立ちません。
お寺が過疎や高齢化によって、廃寺の危機などの問題があるように、田舎の消防団でも若い人が少ないため、存続の危機になっています。

そんな消防団の良いところ悪いところを紹介します。

私が京都の一人暮らしから自坊に帰ってすぐ、『消防団に入りませんか?』と団員の方が勧誘に来られました。
その頃の私は、正直消防団に対するイメージはよくありませんでした。

大変そう。
めんどくさそう。
お酒の席が多そう。
上下関係に厳しそう。

このように思ってたので、勧誘に来た団員に、ガツンと言ってやりました。

『入ります
          (о´∀`о)』

はい、ガツン無理です。
断る理由が無いです。
内心嫌々ながらも消防団に入団しました。


1年目
想像より忙がしくありませんでした。
みなさんとてもいい人ばかりで、
上下関係(団歴で決まります)は多少ありますが、威圧的なことは何もないですし、お酒も無理に勧められることもありませんでした。(地域によって多少異なりますが、最近の消防団は飲酒に厳しいです。)

2年目
ポンプ車操法
5~7月の夜に3ヶ月間で100時間ほど練習します。
「ん?んん?聞いてないんですけどぉぉぉぉぉ?」
と思いました。
消防車には種類があり、私の班の消防車は小型ポンプ積載車で、この大会はポンプ車の大会なので、この時は選手としての出場ではなく、他の班のお手伝いだけでしたが大変でした。
しかし、お手伝いだけでも規律やポンプを出すまでの流れなど、とても勉強になりました。

3年目
機関員(ポンプや、消防車を扱う人)になりました。
藤江消防団5班は、上の役職から
部長1人
班長兼会計1人
機関員1人
平団員7人
の10人で構成されています。
実際にいざ火事が起きると、役職関係なく到着した人から動くので、ポンプは近く人が操作します。
私の場合は名ばかりの責任者という感じでした。

4年目
班長兼会計になりました。
小型ポンプ操法
私は2番員の選手として出場しました。
ゴールデンウィークあけから練習が始まりましたが、すごく憂鬱でした。
これから100時間も練習かぁ…と…
最初の1ヶ月間は、気をつけ、休め、集まれのみ練習します。
規律の少しの乱れで注意されます。
  指が曲がっている
  かかとが揃ってない
  肩が揃ってない
 集合線から、足がはみ出ている
など注意されます。
練習を、重ねている内に段々と鬱憤が溜まっていきます。
「この練習、火事現場で関係ないやんけ!」
と思います。(実際には役立つことも多いです)
荒みます。
2ヶ月目からは、ホースを投げたり繋げたりと、実践練習が始まります。
3ヶ月目は、最終確認をしながらタイムを計ります。
タイムが速い方が得点が高いです。


平成28年全国大会優勝消防団の動画↓


小型ポンプ操法が終わったときの達成感はすごいです。
ちなみに本番ではホースを落として、大減点をくらいました。

5年目
もう1度班長兼会計をしました。
班長は大変ですが、特に何もない年でした。

6年目
部長になりました。
1年を通して全焼が2軒ありました。
火事には気をつけてください。
私の地域(田舎)の火事の通報のほとんどは、庭でいらない物を燃やしていたら母屋や倉庫に燃え移ったという通報です。
田舎の方は、特に気をつけてください。
7月には西日本豪雨災害がありました。
被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
藤江消防団は夜中の0時から18時間ほど災害時の活動をしました。
藤江町では大きな被害はありませんでしたが、崖崩れが起きそうな場所にブルーシートを敷いたり、
溢れそうな池の水を抜いたり、
土嚢を積んだりしました。


他、毎年行われる出初め式の図↓

出初め式は、一般の方も消防車に乗れたり、消防服を着れます。
消防車が好きな子どもは特に喜ぶと思います。
10時頃に開会式が終わり、様々な公開消化訓練など見学できます。
11時過ぎにヘリコプターの救助訓練後、虹色の一斉放水で出初め式終了となります。
虹色の一斉放水は綺麗ですが、見終わる頃には駐車場の大渋滞が始まります。
ヘリコプター訓練が始まりましたら、帰宅の準備を始めることをオススメします。

文化財訓練(お寺や神社の火事の時のための訓練)の図↓

消防団は様々な行事や訓練、実際の火事や災害での活動を通して、地域だけでなく地域外の同年代の若い人との繋がりができます。
この繋がりが子供の学校での行事や地域の行事の時にとても助かります。
また消防団の人のお店を積極的に利用しあったり、消防団の人の営業を通して車などを購入したりと、仕事面でのメリットも大きいです。
お寺でも消防団の方が、大晦日に鐘をつきに来てくださるようになりました。
ありがたいご縁です。

消防団は大変ですが、団員の絆は強いです。
地域の安心安全を守りつつ、新たなご縁にも恵まれます。
これからも地域の方と積極的に交流をして、新たなご縁作りも大切にしたいと思います。

筆者 岡部哲應


福山消防団PR動画↓