『お寺でカープ観戦』に行ってみた!

今期のカープ…誠に残念でした。

今年こそは日本一を見せてくれるか!と願っていましたが、惜しくも日本シリーズで敗退。

とまぁ掲載するのが遅くなってしまい今更ではありますが、久しぶりの「お寺日和。」は、

備龍会会員の所属寺院である福山市崇興寺にて行われた「お寺でカープ観戦!」に行ってきました。

 



 

心躍らして崇興寺へ到着♪

 

駐車場へ車を停めて本堂へいくと

 

本堂前に置かれたホワイトボードにはこんな案内が‥

住職の本気度が伝わりますね(笑)

 

少し緊張しつつ本堂内へ入ってみると…

150インチの大型スクリーンに向かい沢山のカープファンが大応援!
本堂内にはブルーシートが敷かれ、各々飲食物を持ち込んで盛り上がっていました。
堂内の熱気が高まってくると飲み物が必ずこぼれるそうで、ブルーシートは必須とのことです。
ちなみにいずれは「レッドシートにしたい!」と密かに考えているそうです。


▼以前の新聞に掲載された写真を確認してみると、確かにこの飛び上がり方はこぼれますね(笑)

 

▲手作りでハンバーガーを作って持ってこられているご夫婦がおられました。いやぁ美味しそうです。

 

この宴会写真だけを見れば、ここがお寺の本堂だとは誰も思わないだろう…笑

来場者、また市内の料理屋さんからもお酒やお菓子の提供があって、手ぶらで来た人も自由に楽しめます。これで無料って…凄くない?!

私も提供されていたカープサイダーを頂きました。美味しぃぃいい!

 

 

点が入るとみんなで立ち上がって盛り上がります。これは楽しい!やっぱみんなで応援すると楽しい。

 

9回裏4対4…

思わず仏様に手を合わせるカープ男子…

 

 

この日は惜しくも負けてしまいましたが、試合が終わりみんなで笑顔でポーズ!

 

最後に御本尊へ向かい全員で合掌礼拝をして解散となりました。楽しい観戦会だったので、本当にあっという間の時間でした。



 

お寺の本堂でこういう行事を開催することに、もしかすると否定的な方もおられるのかもしれません。本堂は御本尊を安置して、お経を読んだり、法話を聞く場所であることは誰しもが分かっていることですからね。

今回どんな想いで開催しておられるのか?

崇興寺住職の枝廣慶樹氏に素直に聞いてみました。

↑↑カープ帽の似合う崇興寺の枝廣住職

「『お寺でカープ観戦!』は一昨年に始めたことで、これは私が考えたことでなくて、カープファンのご門徒さんからの提案でした。開催すれば怒られることもあるかと思いましたが、実際クレームなどは全くありませんでした。お寺に参って、仏様の教えを聞いて欲しいという願いがありますが、その前に『崇興寺を知って欲しい』『住職である私のことも知ってほしい』という思いがあります。何も知らないお寺に参ることはなかなかできませんからね。一緒にカープを応援すれば仲良くなれるんじゃないかっていう下心ですね(笑)この行事はお寺のすることではないのかもしれませんが、実際にこの行事が縁となって、他のお寺の行事に来てくださる方がおられました。本当に僅かなことですが、ご縁作りってこういうことじゃないかなと思っています。」

 

▼ご縁作りにお寺でヨガなども開催されています

枝廣住職は23歳で住職となって現在33歳。こういう取り組みができるのは若さ故の勢いなのかもしれませんね。日本一が決まるまで連日全試合を開催するんですから、決して楽なことではありません。翌日には法事などもあるわけで、毎日片づけてはまた設置、片づけてはまた設置、されるそうです。

住職は「いやー、慣れてきて日に日に準備片付けの時間も短くなっていますよ。明日も最短時間を更新してやりますよ!」

と謎に誇らしげに語っておられましたが、実際準備や片付けにかかる作業は大変なものだろうと思います。
しかし、私は「こんな風にお寺で楽しめる行事がもっとたくさん増えればいいなぁ」と率直に思いました。お寺にご縁のなかった人も参加したくなるような行事が増えたらいいなぁと。


帰り際、参加者にお話しを伺うと、
「楽しくて真面目な住職さんの人柄に惚れてます。バラエティに富んでいて何時間話してても飽きないんですよ。カープ観戦にしても始めは選手の名前もあまり知らなかったみたいなのに、『住職一緒に応援しよー』と言われて『いいですよー』と嫌な顔一つせずにやっちゃうんですから。とにかく行動力が半端ない方ですね。」
と話してくださいました。

なにやらこれからも何か面白いことをしてくれそうな予感がビンビンしてきました。

崇興寺と枝廣住職の今後をYo!!Check it out!!

崇興寺HP:https://soukouji.com/

「終わりのないいのち」ウルトラマン

以前、とある研修中、余談として興味深いお話を聞かせて頂いたことがあります。それは「ウルトラマンと浄土真宗」についてネット上に掲載されたある論文の簡略な紹介でした。その論文内容は、ウルトラマンの設定や物語と、浄土真宗という仏教に類似する点が多くあり、

「ウルトラマンには、浄土真宗の宗祖親鸞聖人の思想がその背景にあるのでは!?」

「円谷英二氏には浄土思想の素養が!?」

といったもので、無論そこまで飛躍するのも問題が出てくるので、講師曰く「決して正しい説とは言えませんが面白いのであくまで余談として紹介します…」と前置きされた上でご紹介くださいました。

というわけで、当コラムも比較部分はあくまで余談としてご一読くだされば幸いです。


さてウルトラマンといえば、言わずと知れた円谷プロによる特撮ヒーローであり、現在でもTVで活躍中のアニメ・コミック・グッズ・ゲームなどで大人気のスーパー変身ヒーローです。この物語の基底にあるものは、怪獣といった敵に対して「♪光の国からぼくらのために♪※1」地球を「救済」しに正義の味方がやってくるというものです。

科学特捜隊のハヤタ隊員が調査飛行中、宇宙から飛来した謎の赤い光(ウルトラマン)と空中で激突し、死亡した正にその時、赤い光に包まれてウルトラマンとして再生したその瞬間、ハヤタ隊員の行為や意志に関係なくウルトラマンの方から一方的に「いのち」が与えられる… その後のハヤタ隊員=ウルトラマンの活躍はご承知の通りですね。

要するに、ウルトラマンによる人類に対する一方的な不思議な肩入れであり、ハヤタ隊員と縁あって「光の国」から来たウルトラマンが、勝手に怪獣や宇宙人と闘って人類を救済してくれるというわけです。

類似点をいくつか…、

≪ウルトラマン≫

①この物語には光の彼方から常に見守り身を賭して救済するという理想が横たわる

②ここでいう「光の国」とは地球から300万光年離れたM78星雲のこと

③ハヤタ隊員が死亡と同時にウルトラマンによりいのちが与えられ、そのまま人類の救済にはしる

※2

≪仏教≫

①仏教に説かれる物語は、苦しみにあえぐ生きとし生けるもの(衆生)を救済するために、仏さまが手を尽くし、そのうえ自らを犠牲にして衆生を救う。

②仏教における阿弥陀如来の西方極楽浄土も「光に満ち満ちた仏国土」といわれ、そこは十万億仏土を越え離れた西方と説かれ、さらには阿弥陀如来も「無量光仏」「無碍光如来」など様々な「光」で表現される  

③浄土真宗で示される所の往生即成仏、つまり「どなたであっても、この世の縁が尽きるとき浄土(光の国)に生まれ、同時に仏としてのいのちをめぐまれて、そのまま娑婆にかえり来て人々を教化(救済)する」

 

他にも「ウルトラサイン」なるものと仏教の「梵字」の酷似※3など、多くの類似点があるようですが、すべては紹介しきれないので興味のある方は文末の参考資料をお開きください。また、「類似」とは「イコール」では無いこともご承知ください。

以上いくつか類似点を挙げてみましたが、何より興味深いのは、そもそも地球人とは何の関係もない「光の国」から来たウルトラマンは、その後も、

ウルトラセブン → 帰ってきたウルトラマン → エース → タロウ → ~中略~ → ギンガ → フロンティア → ギンガS → X → オーブ → ゼロ → ジード → ルーブ・・・

と名を変え、すがたを変え、地球に現れては人類のためにいのちを賭して闘い続けるという所にあります。それは、容姿、形を変えながらも人類を救い続けるヒーローとして2018年現在も活躍を続ける(放映中)すがたです。

お念仏に出遇った人は、この世にあっては個別の名を持ちながらも、いのち尽きて往生するとき既に衆生を放っておけない阿弥陀さまと同等の仏さまというすがたをとってこの娑婆へ巧みに顕現なさいます。このすがたこそ「南無阿弥陀仏」というあらゆる功徳の備わった「名」のすがたです。まさにすがたを変えながらも必ず娑婆に還(かえ)りきて、絶えず我々へ教化のためにご苦労を重ね続けてくださる仏さまです。

 

私にとっての仏さまはどんなすがたなんでしょうか。
阿弥陀さまはお名乗り出た南無阿弥陀仏(お念仏)です。「南無阿弥陀仏」称える時、そこにはすでに自らも仏さまとなって生き続ける亡き祖父母や身近な人をはじめとした先達から、私への縁つなぎが完成されていたのでしょう。先立った人を想うとき、その人と私との関係は現在進行形で続いているのです。亡き人の仏さまとしての仕事はもう始まっていました。

 

過去ではなく現在も生き続ける「終わりのないいのち」、南無阿弥陀仏といいます。

 

筆者 那須 智雄

≪参考資料≫

※1 『ウルトラマンの歌』日本コロンビア
<作詞:東京一 作:宮内圀郎 歌:みすず児童合唱団、コーロ・ステルラ>  

※2 『ウルトラマンに観る親鸞思想-「光の国」と「往相還相」』 レルネット <三宅善信氏>

※3 『マイ仏教』新潮新書 <みうらじゅん氏>