カープ優勝

2017(平成29)年9月18日阪神甲子園球場。待ちに待った瞬間が訪れました。

広島東洋カープ(以下カープ)が昨年の優勝に続いて2年連続8度目のセントラルリーグ優勝を果たしました。

連覇は37年ぶりという。

多くのカープファンが歓喜に酔いしれました。私も子供のころからのカープファンです。地元優勝ができなかったことは少し残念ではありますが、やはりうれしい。カープファンではない方、野球に興味のない方には少しおもしろくないかもしれませんが、少し私の話にお付き合いください。

カープの優勝。それは多くの選手たちの活躍によるもの。昨年の26年ぶりの優勝の時もそうですが、個々の選手持ち前の力を発揮し、選手一丸となって成しえたものです。

タナキクマルと呼ばれる、田中、菊池、丸の1,2,3番トリオ。
途中惜しくも怪我で離脱してしまったが、若き4番鈴木誠也。その鈴木の離脱後見事にその穴を埋めた松山。

他にも野手では今年活躍が目立った安部、優勝の決勝打を放ったバティスタ、そしてエルドレッド、新井など。

投手陣では昨年黒田が退団して当初は不安視され、さらに開幕直後エースのジョンソン、野村が離脱してしまいどうなることかと思いましたが、藪田や岡田などの若手が台頭し、穴埋め以上の活躍をみせました。

他にも大瀬良、九里、一岡、今村、中崎と多くの名が上がり、限りある紙面では紹介仕切れません。

専門家の中にはカープは再び黄金期に入ったという人もいるらしいです。カープの人気は今や全国に広がっています。ホームのマツダスタジアム(広島市民球場)以外の球場のスタンドの応援をみても赤色が非常に多いようにみえます。カープ女子という現象も見受けられます。私の子供の頃、カープ女子と言えるのは近所のおばさん、いやおばあさんたちでした。あの頃からは想像つかないことだと思います。

さて、上記に名が上がった選手たちは今や全国の野球ファンたちに知られています。カープの低迷期にはレギュラー選手でも全国に知られないことがありました。では、なぜ今の選手たちは名が知られているのか。それは私たちが知ろうとして知っているのではなく、彼ら選手の活躍というはたらきによって知らされているのです。カープの強さ、選手個々の活躍はたらきなしではみんなに知られることはありません。

ここで問題です。

カープの選手の中に浄土真宗本願寺派備後教区寺院出身の選手がいることを知っていますか?
そう、梵英心選手。カープ低迷期を支えた名遊撃手でしたが、残念ながら今季限りでの退団が決定しました。

では、もう一つ。1950(昭和25年)カープ創設時にも浄土真宗本願寺派備後教区寺院出身の選手がいたことを知っていますか?
これが分かる方はそうはいません。
彼の名は箱田義勝、私の伯父です。子供の頃私の父親(現住職)から「伯父さんはカープの選手だった」と聞かされていましたが、はじめのころはウソだろうと思っていました。近年ネット社会が発達し、何でも検索すれば知ることができるように、改めて『箱田義勝』を検索してみると、確かにHITしました。

以下は父親から聞いた話です。

箱田義勝は昭和5年に広島県沼隈郡山南村(現福山市沼隈町下山南)の西光寺に生まれました。寺の跡継ぎでありながら父親(私の祖父)の許しを得て高校卒業後、昭和25年創設間もないカープにテスト生で入団。あこがれのプロ野球選手となりました。同期にはかの有名な小さな大投手長谷川良平選手がいました。
伯父は左投手で期待され、祖父の話では当時の石本秀一監督に背広を買ってもらったとか。しかし、現実は厳しかったようで、選手としての在籍期間は1年半。その間の成績は登板試合2試合、投球回数3回で勝敗つかず、自責点12点。とても良い成績だったとは言えません。その後、引退から6年、生家に戻り住職を継ぎました。それから10年後の昭和41年、交通事故で往生しました。名もなきカープの選手の一生です。

伯父の名は皆さんには知られていません。知られるほどの活躍ができなかったからです。

私たちは「南無阿弥陀仏」のお名号をいただいています。「名号」とはそのまま字の解釈をすれば「名乗り」です。
しかし、名乗っただけではその名は人には届きません。伝わるためにはそれ相応のはたらきがともなわなければなりません。

「南無阿弥陀仏」とは阿弥陀如来さまが、「すべてのいのちをもれなく救うために、永い永い期間深く深く考え抜かれて、48の願いを建て、そしてさらにさらに気の遠くなるほどの行をおさめてしあげた」名乗りです。
いま、その名乗りの「南無阿弥陀仏」が私の口から称えられるのは、阿弥陀如来さまのはたらきが、まさしく到り届いている証であります。その名乗りはまた、「我をたのめ、必ず救う」という喚び声でもあります。

ですから、今の私はただただそのみ名を称えさせていただきながら生かさせていただくのです。
深い願いがあることに気付いたカープの優勝です。

これから、CS突破と日本シリーズがあります。願わくば、勝って33年ぶりの日本一を見てみたいものです。

最後に、伯父の背番号は8でした(正確にはつけたことがある)。

今日もカープは勝ち♪勝ち♪勝ち勝ち♪

 

筆者 箱田 義信