「備龍会レポート」カテゴリーアーカイブ

備龍会からの行事・活動報告。

2020(令和2)年度 備龍会Web総会

6月23日(火)に備龍会総会を開催しました。今回は、新型肺炎コロナウィルスの感染防止対策として、Zoomを用いたWeb会議を導入いたしました。執行部と監査委員の7名は備後教堂に集合し、会員参加者22名は自宅から総会に臨みました。

Web総会の様子

総会は、ご本尊への合掌礼拝から始まり、会長挨拶の後、議題(8項目)についての審議に入りました。

総会資料

行事報告では、予定していた行事の半分近くが中止になったことが報告され、コロナウィルスの影響を大きく受けた年度報告となりました。また、重要議題である行事計画(案)と2020年(令和2)年度予算(案)については、案通りに可決され、行使されることに決定をいたしました。

今回の総会では、退会会員4名と新入会員1名の報告があり、各会員がWebをとおして挨拶を行いました。最後には各専門部(研修部、交流活動推進部、広報部、野球部、みのり煎餅、災害対策、浄土真宗青年僧侶連絡協議会)からの報告があり、特に研修部からは、「やさしく学ぶ正信偈」講座の7月開催の是非についての問題提起がなされ、その結果中止と決定いたしました。

各会員:自宅からのリモート参加

初めての試みであり、不安のなか行われたWeb総会でしたが、トラブルもなく想像以上に円滑に進めることができました。Web会議は、災害などの非常時にも有用であり、この経験は今後の備龍会にとって大きな財産となりました。

会長:閉式の辞

仏教教養講座『歴史に学ぶ浄土真宗の安心-三業惑乱-』

去る2月17日、本願寺備後教堂にて備龍会主催『仏教教養講座』を開催いたしました。この講座は広く一般の方に仏教に触れてもらいたいという願いのもと、年に1回開かれている公開講座です。本年度は奈良県より三浦真証先生をお招きして「歴史に学ぶ浄土真宗の安心~三業惑乱~」と題して、ご講義を頂きました。
三業惑乱とは江戸時代に起こった教義論争であり、この三業惑乱を通して、「浄土真宗の信心」についてお話を頂きました(※三業惑乱の概要については本文最後に記載)。講義の内容はここではすべてをお伝えすることができないほど、充実したものでした。ですので、印象に残った点を2点ほどお伝えさせていただきたいと思います。

三浦真証 先生

まず1点目は、「浄土真宗の歴史を学ぶという事は、自分を問題にするという事が大切である」という事です。先生は「ただ過去にあったこととして歴史を学ぶのではなく、自分の事として歴史を学ばなければ、浄土真宗の歴史を学ぶ意味はない」と教えてくださいました。ただの歴史の知識として蓄えるのではなく、その場に自分を置いて考えるということが非常に重要なことだと思いました。先生は「セカイノオワリ」というアーティストの「ドラゴンナイト」という歌の

”人はそれぞれ「正義」があって、争い合うのは仕方ないのかもしれない。だけど僕の「正義」がきっと彼を傷つけていたんだね”

という歌詞を紹介され、正義を握りしめるところに争いがあると、ご講義をくださいました。「過去に三業惑乱という争いがあったんだなぁ」というのではなく、その事を通して「私自身も正義を握りしめて、他を傷つけているのではないだろうか」という視点を持つことを忘れてはならないと思いました。      

そして2点目は、「浄土真宗の信心は無条件のすくいにただおまかせするばかり」という事です。浄土真宗の信心というものは、阿弥陀様を信じて、お願いするのではない。「そのままお浄土へ迎えとりたい」と私にすでに願いをかけて、はたらきかけて下さっている阿弥陀様に「そのままおまかせする」のが浄土真宗の信心であると、懇切丁寧に教えて下さいました。さらに現代社会を「総強迫性社会」と表現してくださり、現代社会は「○○でなければならない」という強迫社会であり、そのような現代であるからこそ一切の条件をつけられずそのままの私を、そのまま認めてくださる阿弥陀様のお慈悲は大きな救いになると力強くご講義くださいました。

今回は『三業惑乱』という少し専門的なテーマではありましたが、非常にかみ砕いて、ユーモアを交えてお話くださいましたので、はじめての方でも大変聞きやすいご講義だったように思います。講座終了後、お参りの方々が「わかりやすい話でした」「とてもおもしろい内容でした」と口々に仰ってくださっていたのが、なにより嬉しかったです。

当日はたくさんのお参りを頂き誠に有難うございました。また三浦先生におかれましては、ご多用のところ備後の地までお越しいただき、貴重なご講義を下さり、大変有難く存じます。備龍会会員一同御礼申し上げます。

※三業惑乱とは…江戸時代中期に浄土真宗本願寺派内で教義をめぐって発生した大規模な論争。本願寺派第6代能化(学僧のトップ)功存の教義理解を第7代能化智洞が広めたことにより、惑乱が起こる。この論争は全国を巻き込む日本最大の教学論争になるが、最終的に地方広島の学僧大瀛が正す形で終息するこれを機に本願寺派は、教学理解をとても大切にする教団になっていく。

浄青僧 本山総参拝2020

1月28日(火)、備龍会は総勢11名で浄土真宗青年僧侶連絡協議会(以下:浄青僧)本山総参拝に参加しました。浄青僧とは、全国にある浄土真宗本願寺派の青年僧侶団体が一堂に会し、様々な研修を行い、親睦を深める組織です。半日という短い時間でしたが、内容は大変濃いものでした。その様子を少しレポートします。

備龍会会員

まずは、本願寺の御影堂にて開会式が行われました。開会式にはご門主様もご臨席くださり、次世代を担う青年僧侶への期待のお言葉を述べてくださいました。そして、最後に主催教区である春秋会(安芸教区)会長のご挨拶があり、開会式が閉じられました。

御影堂での開会式

その後、会場を安穏殿(本願寺境内の建物)に移し、今回のテーマ「ブッダスケール ~子どもたちの願い・仏さまの願い~」のもと研修会が始まりました。

研修会

研修会の最初は、春秋会会員によるワークショップ。内容は、一枚の簡単な迷路が渡され、それを利き手とは逆の手で行うといったものです。しかし、ただするだけでなく、その間スタッフからは「早くやりなさい!」「なんで出来ないの!」などの容赦ない言葉が浴びせかけられます。冗談と分かっていても、その言葉にプレッシャーを感じ、迷路を上手にすることができないのです。それが終わると再び新しい迷路が配られ、同じように利き手とは逆の手で行っていきます。しかし、今度はさっきとは違い、スタッフから「上手だね」「すごいね」などの優しい言葉がかけられるのです。すると、全く違う心持で迷路をすることができました。同じ迷路をするのでも、掛けられる言葉によって心理状態が大きく変わることを実感しました。親が子供に掛ける言葉も、大人が思っている以上に、子供に大きな影響を与えていることを知る体験となりました。

ワークショップ

続いて、今回の研修のメインである白石正久先生(龍谷大学教授)によるご講義がありました。先生は、糸賀一雄先生(日本で初めて知的障害児等の入所・教育・医療を行う「近江学園」を創設された人)の活動やお言葉を通して、「子どもたちの願い」について分かりやすくご講義してくださいました。

そのなかでとても印象的だったのが、「すべての子どもは、より良く生きようとするたたかいのなかにある、そのことに共感していくことが大切である」というお言葉です。発達には個人差があります。けれども、大人はその発達に「早い」「遅い」などの評価を与えてしまいます。しかし、すべての子どもは、必死により良く生きようと願いたたかっているのです。そのことを知って共感していくことを「発達的共感」と言い、この共感の世界が形成されることが大切であると教えていただきました。

そして、最後に白石先生と花岡静人先生(本願寺派布教使)との対談がありました。「阿弥陀様の分け隔てなく救う」というお心を通して、多様性が尊重される社会の実現のために、僧侶自身が常に問題意識をもって寺院活動を行っていくことが大切であると聞かせていただきました。

白石正久先生
花岡静人先生

夜には、懇親会がありました。ここでは、「久しぶり!」「元気しとるん?」などの言葉が飛び交い、友人との久々の再会を喜ぶ声が聞こえていました。また、普段会うことのない他教区の僧侶と様々な意見交換をし、多くの刺激と学びを得る場となりました。

この度の浄青僧本山総参拝で学んだことを、備龍会の活動に繋げていきたいと思います。安芸教区春秋会の皆様、大変お世話になりました。誠に有り難うございました。   

お供物特集(後編)

お供物特集(後編)では、実際に一般寺院ではどのようなお供物が作られているのか?その実例を中心にご紹介していきたいと思います。

供笥と方立

まず、お供物特集(前編)でも少し触れましたが、主にお供物は供笥(くげ)、または鏡台(かがみだい)・雲脚台(うんきゃくだい)と呼ばれる器具に盛っていきます。

※供笥(くげ)は宗派によって呼称が異なりますが、仏教各宗に用いられます。いつの頃から用いだしたのか明らかではありませんが、室町時代には今のような形式で行われていたようです。

供笥(くげ)の周囲には「方立(ほうだて)」と呼ばれるものを立てます。

「方立」は『真宗事物の解説』西原芳俊著によれば、もともとは「饗立(きょうだて)」と称し、饗膳正式(もてなし料理の膳)の場合に、初めは物のこぼれ落ちないために用いたものが、仏前のお供物の装飾として用いられるようになったそうです。

また、『実悟記』には「香立(方立のことを指す)は華葉を表し、供物は蓮台を表して華束と名づけたるか」とあり、方立は蓮華の花びらを象ったともいわれます。

ちなみに、西本願寺ではこの方立は必ず重なりが左が前になるように立てられています。

お供物実例

お供物は作法の上から①餅 ②お菓子 ③果物 の順に重んじられています。
ここからは実際にお寺でお供物を作られる様子や、完成した姿を、一挙にドドーーン!とお届けしていきます。

①お餅

蓮如上人(本願寺8代目宗主:1415~1499年)の時代の記録を見ますと、お供物はすべて小餅ばかりで、餅以外の菓子や果物に類するものを用いるようになったのは、ずっと後代になってからのようです。

お餅はお寺の方やご門徒の方々が、餅をつくところから、色付け・盛り付けに至るまで、手作りされるお寺も多く見受けられます。
作られる工程を普段はなかなか見ることができませんが、そこには様々な工夫が施され、丁寧にお手間がかけられた大きなご苦労が詰まっています。

②お菓子

お菓子は、後にお配りしやすいもの・食べやすいものが選ばれることが多いようです。また法要後、より素早くお下げして参拝者などにお配りできるように、「お供物ほどき」として解体しやすい形で作られるという工夫も見られます。

③果物

果物は上部写真:左の通称「段盛」と呼ばれる道具を使って盛られることが多いようです。
また、備後で身近な瀬戸内海は〝みかんどころ〟ということもあり、備後ではみかんのお供物を見ることが多いです。

お下がりをいただく

あるご門徒宅での一コマです。
お勤めが終わり、お茶をいただきながら、そのお宅のおばあさまとお話しをしていました。すると、そこに小学生のお孫さんが学校から帰ってきました。

孫「ただいまー!!」

祖母「お寺さんが来てくれとってじゃけぇ、ちゃんとご挨拶しなさい!」

その言葉を聞いて、お孫さんが元気よく挨拶をしてくれました。挨拶にすぐ引き続いて、

孫「おばあちゃん、なんかおやつある?」

その問いに、おばあさまは少し照れくさそうに笑いながら、私に軽く会釈して返事をしました。

祖母「お仏壇にお菓子がお供えしてあるから、手を合わせてお礼してからいただきなさい。」

お孫さんは私の横を通りすぎ、慣れたようにお仏壇の前に座りました。そして手を合わせてお礼をすると、お供えしてあったイチゴ大福を手にし、先にイチゴ大福をよばれていた私の横にちょこんと座ると、「いただきまーす!」と、勢いよく食べ始めました。

祖母「そない慌てて食べようたら喉に詰まらせるよー」


何とも微笑ましいひと時に、こころが温まるようでした。
もしかすると、こういったやりとりは少し前までは多くのご家庭で当たり前のように見られたのではないでしょうか。
今ではずいぶん懐かしい光景になってしまったでしょうか?

「お供物」をさせていただくということは、ひとつに、いのちの恵みを、仏さまのお恵みとして心から喜び、その有難さに感謝していくということです。
そのことを日常的に先人たちは教えてくれていたものです。
日々の恵みを仏さまからの〝お下がり〟としていただくところに、自然と物の有難さがしみついていたのではないでしょうか。

何事も仏様からの〝授かりもの〟として、改めて感謝の気持ちでお礼させていただく一日一日を、共々に大事に歩まさせていただきたいことです。

終わりに

前編・後編にわたってお届けした「お供物特集」いかがだったでしょうか?
皆さまのお寺やご家庭のお仏壇になされるお供物のご参考になるようなことがあれば幸いです。
また、お供物の写真は、これからもこちらのレポートに順次追加してアップしていこうと思っておりますので、ご参考にまたぜひ覗いてみてください。

最後になりましたが、この「お供物特集」に写真提供等々、ご協力いただきました多くの皆さまに深く感謝申しあげます。有難うございました。 合掌

 

 

お供物特集(前編)

西本願寺最大の年中法要、御正忌報恩講法要が1月9日~16日まで盛大に厳修されました。

御影堂(ごえいどう)の中心となる御真影様(ごしんねいさま:親鸞聖人御木像)の周囲は雅やかにお荘厳がなされていますが、その中でも破壊力抜群のビジュアルで目を引くのがお供物(おくもつ)です。

今年の報恩講のしおりの表紙にもお供物が描かれていました。

餅や落雁、果物などを積み上げたお供物は直径20センチ弱、供笥(くげと読みます、お供物をのせる台のこと)を含めると、高さは80センチにおよびます。もっとも大きな「千盛饅頭」は高さ1.5メートルにもなり、咲き乱れる椿の装飾がお供物の王者という風格を漂わせています。


“報恩講期間中は、本願寺渡り廊下にて、荘厳具・仏華・供物などの展示がなされているので目の前で拝見することができます。”

供物は、尊前に供える餅・菓子・果物などのことをいいます。
本願寺の御正忌報恩講法要においては、御真影様の御前に10具(10対)の供物を内側より、彩色餅・白雪香・山吹・洲浜・蜜柑・紅梅糖・松風・紅餅・銀杏・千盛饅頭の順にお供えされます。

荘厳仏具で彩られた御影堂内陣のなかでも、これら10具のお供物が立ち並ぶ姿は圧巻です。

お供物詳細参考:本願寺勤式指導所ホームページ

これらすべては、銘菓「松風」で有名な、御供物司「亀屋陸奥」が口伝で継承されてきました。創業当時から西本願寺へ作り続け納めてきた、その歴史は500年にものぼります。

添加物は一切用いず、豪華で精巧に積み上げられたお供物からは、菓子職人のただならぬ心意気を感じます。

餅の原料には全国の門信徒から集められたもち米が使われるなど、徹底した宗祖親鸞聖人への想いが込められています。

写真:「本願寺報恩講しおり」より転載


 

さて、西本願寺だけではなく、一般の寺院においても、法要の際にはお供物をいたします。もちろん、お供物の準備に費やすことができる時間、人員や予算など全ての法要において、

「絢爛豪華にお供物を!」

 

というわけにはなかなかまいりません。しかし、報恩講法要や慶讃法要など、特別大切になされる法要等ではそれぞれに工夫やこだわりを見ることができます。

例えば、備後の中には住職自らが落雁を1から手作りし、

 

ご門徒の皆さまと完成させていくというお寺があったり、


“これは匠の域ですね”

法要後に仏様からの”お下がり”として、参詣者にお配りしやすいものを吟味して選ばれ、美しく見えるように工夫をこらしておられるお寺など、お供物の様式も様々です。

“ズレないようにまっすぐ重ねていくというのも大変な作業です”

「子供報恩講」という子供たちの法要を開かれて、子供たちに喜ばれるものを考えてお供えされることもあります。


 

その中で、備後地方で特に報恩講法要でよくお見かけするお供物を1つご紹介いたします。

いつどのようにして始まったものなのか、備後地方を中心に伝わってきたものなのか、詳細を確認することはできませんでしたが、古くからずっと続いてきた伝統的なものであるということは間違いありません。
※詳しく知っておられる方があればぜひご教授ください!!

 

作り方もお寺によって微妙に違いがあるようです。

まず原料に米粉ともち米を混ぜたものを搗いて棒状にしていきます。
分量も3:2で混ぜるというお寺もあれば、米粉100%でされるというお寺もあります。

それを斜めにカットしていきます。

カットする太さもそれぞれのお寺によってこだわりがあるようです。

輪ゴムなどで根元を止めていきます。

止めたところが目立たないように、お餅と同じ色のゴムを使われたり、透明のゴムを使って作られるというお寺もあります。

完成です!

蓮華の花が咲くような姿から「蓮華盛」と称されたり、花びらのような姿から「花びら餅」と呼ばれます。

こちらは白餅だけで作られ、餅を切るのに肉を切る道具を用いたものです。

色彩鮮やかに作られるお寺もあります。

「蓮華盛」は始めは垂直で止められています。それが、冬にストーブなどで本堂内がじんわりと温まっていく”熱”の伝達によって、少しずつ花びらが開いて咲いていくかのように、だんだんと曲線を描いていきます。法要の間に、開いていく過程も楽しむことができるんですね。

この特色をお聞きしながら、私たちも仏様のお慈悲のぬくもりによって、少しずつ仏法をよろこぶ心の花びらが開いていく。そしてお念仏の大輪を咲かせるという、ぬくもりによって「蓮華盛」が開いていく姿に、そんな味わいを重ねさせていただいたことです。


法要後お供物を下供して、参詣者にお配りすることがあります。そんなとき「お供物は仏華の後ろに隠れて見えにくかったから、どんなのをされていたのか気が付かなかったよ!」と言われることがよくあるそうです。
お供物だけに限らず、心をこめてお荘厳されたお内陣を、改めて注目しながら見てみるというのも、お寺参りの楽しみの1つになるのではないでしょうか?

「お供物特集(後編)」ではお供物の「実用例集」ということで、さまざまなお供物をご紹介していきたいと思います!!
またぜひ、ご一読ください!!

第1回「やさしく学ぶ浄土真宗」レポート

〝浄土真宗のみ教えを分かりやすく学べる場がもっともっと増えてほしい〟

そんな思いから立ち上がった企画、「やさしく学ぶ浄土真宗」の第1回が3月2日に福山市市民参画センターで開催されました。

「参加者があるんだろうか?」

そんな主催側の心配も他所に、予想を大きく上回る参加人数で会場は満席となりました。

講題は「生死(の迷い)を超える」です。

玉木先生はまずお釈迦様のご誕生から味わっていかれました。
お釈迦様は誕生後すぐに7歩歩まられたとお聞かせいただいておりますが、なぜ6歩でなく8歩でもなく7歩だったのか?
そこに「六道輪廻」という迷いの状態をお示しになられます。

①地獄・・・苦しみのきわまった世界。
②餓鬼・・・飢餓に悩まされる世界。
③畜生・・・人に養われて生きているもの。
④修羅・・・絶えず対立し闘争するもの。
⑤人
⑥天・・・人界より素晴らしい世界で、衆生が受ける最高の生存。

仏教ではこれらすべては迷いの悪い状態だと考えます。玉木先生はこれらの世界を私たちの日常での出来事に重ねて例えていかれ、

「人として生かさせていただいている私たちですが、同時に六道の状態にいるともいえるでしょう」

とお示しくださいました。お釈迦様の7歩の意味は、その六道を超えていく7の道と考えていく、仏教は六道を超える教えなんだということを最初に聞かせていただきました。

お話しの中にはユーモアを取り入れられて、参加者は興味をそそられます。

例えば先生がご用意くださった資料の中で、「腹」という字が横に寝てます。

玉木先生「このように日頃から心がけてます!」

「なんだろう?」と参加者が顔を見合わせる中、

玉木先生腹を立てず!ということです」

とご解説をいただくと会場の参加者も思わずニンマリ♪
しかし腹が立ってしまうのが私たちで、それも煩悩という苦しみの姿なんですね。

開催が3月2日ということもあり、ひな祭りのイラストを付けられているところも和みます。

他にも掲示伝道におススメの言葉をご紹介してくださったり、終始興味深く参加者を飽きさせない色々な工夫が施されていました。

その後も、六道という悪い状態・迷いの中にある私たちの姿、そしてその私を、親が子を心配するように、心配で心配で見ておられる阿弥陀様のお心を丁寧に丁寧にお話しくださいました。

先生には本当にやさしく優しく易しく語っていただきました。次の講義が待ち遠しいです♪

次回、第2回は5月25日(木)となっております。
どうぞ皆さま有縁の方々お誘い合わせのうえ、共々に親鸞聖人の浄土真宗について、やさしく学ばせていただきましょう!

『御絵伝解説~親鸞聖人九十年の御生涯』

先般2月13日に備龍会主催の仏教教養講座が開かれました。

今年も昨年に引き続き、大阪の宮部誓雅先生にお越しいただき、親鸞聖人九十年の御生涯が描かれた『御絵伝』を、プロジェクターを用いて分かりやすく解説していただきました。

昨年は四幅ある御絵伝のうち第一幅のみの講座でしたが、今回残りの三幅の中から特に重要な場面をピックアップして、最後まで解説していただきました。

いつもは一回の研修会につき一幅でお話されることが多いようなので、相当無茶な依頼だったと思います。限りある時間の中で丁寧にまとめてくださった宮部先生には本当に感謝です。
お蔭で御絵伝の全体像を把握させていただく、大変よい機縁となりました。

このように実際に御絵伝の場面を大きくしての解説、本当に見やすく分かりやすいです。

スライドの良さは言葉を聞きながら目でも多くの情報を得ることができることです。濃密な時間で、会場にいる皆がぐっと場面に集中している感じが伝わってきました。
スライドを用いての解説の後には、御絵伝の場面に先生が味合われるみ教えを御法話してくださる時間もありました。
御絵伝も日々研究が進み新しい発見などもあるそうです。
親鸞聖人が御流罪になられた背景や、山伏弁円さんとの出会いの意味など、引き込まれるお話をたくさんしていただきました。

今回宮部先生のお話を聞かせていただき、今後『御絵伝』を「自分たちでももっと学ばせていただきたい」という思いが強くなりました。

また、お掛け軸として皆で見て敬えるようにした『御絵伝』は、当時としては画期的な伝道方法であったのでしょう。

私たち青年僧侶が現代社会において親鸞聖人のみ教えを広く伝えていくためには、このように新たな視聴覚伝道について研究していく必要もあると思います。
今回の研修は私たちにとって新たな取り組みの可能性を考えさせられる大変有意義な時間となりました。

浄青僧全国大会 in 築地本願寺。

備龍会が加盟する「浄土真宗青年僧侶連絡協議会」の第25回全国大会が東京築地本願寺で開催されました。

大谷光淳ご門主様ご臨席のもと、開会式が始まり、「宗祖讃仰作法(音楽法要)」が勤まりました。

築地本願寺には立派なパイプオルガンが常設されており、多彩な音色に雅楽と声明が調和して、美しいハーモニーを奏でます。

大会のテーマは「浄土真宗だからできること~僕らの時寺問題2017~」

研修は釈 徹宗先生をコーディネーターにパネルディスカッション形式で行われ、先ず「夜回り先生」として有名な水谷 修先生より問題提起がなされました。

現代社会において多くの悩みを抱える若者たちと深く関わり続けて来られた水谷先生から発せられたのは、数限りない若者たちの苦悩の現状、湧きおこる問題、そこに光を射す事の出来る仏教(お寺)の可能性。それらの提起に、満井秀城・紫藤常昭・脇谷暁融先生がそれぞれ専門とする立場からディスカッションされました。

会場内には、『ダキシメルオモイ』展が併催され、小林憲明さんの作品が展示されました。

麻布に油彩で描かれた作品は、適度に透明感があり、空間に自然と溶け込んでいくようです。

東北の震災以降、福島の親子を中心に描き続けている小林さんは、子供を守りたい、安心して暮らしたい、そんなごくあたりまえがあたりまえでなくなった世の中で

〝ダキシメルオモイ〟

子を抱きしめる親の姿にオモイを込めて描き繋いでいきたいとお話しくださいました。
夜は懇親会にて親睦を深め、それぞれの地で頑張る同じ青年僧侶の姿に元気をもらいました。
有意義な研修が、大きな糧となるように精進してまいります。
東京教区青年僧侶協議会のみなさま、準備等々お疲れ様でした。本当に有難うございました。


おまけ

せっかくの築地ということで、旅のだいご味、会員それぞれ食べ歩きしてましたので紹介してみます。
築地本願寺へお参りの際には、ぜひお立ち寄りの参考に。

「ラーメン井上」
ここは外せないと多くの会員が立ち寄りました。あっさりで朝からでも食べられます。

「きつねやのホルモン丼」
築地本願寺お朝事の帰りに朝7時から食べました。さすがに胃にもたれましたがまことに美味です。

「月島もんじゃ」
研修終わってみんなで食べに行きました。備後ではあまり食べる機会がないので新鮮です。べビスターラーメントッピングというのも斬新です。
その他にも、東京の皆さまにたくさん紹介していただきました。次回来たときにはぜひ立ち寄ってみたいと思います。

第60回中・四国地区仏教婦人会大会

 


今年で60回目となる「中・四国地区仏教婦人会大会」が、8月24日に岡山で開催されました。備龍会もスタッフとしてお手伝いさせていただきましたのでレポートいたします。

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この大会は、四州、安芸、山陰、山口、備後と、各教区の持ち回りで開かれています。このたびは備後教区が担当で「コンベックス岡山」を会場に、参加者2797名で開催されました。
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大型バスだけで数十台、駐車場整理も一筋縄にはいきません。しかし、スタッフの的確かつ素早い誘導でバスが見事に駐車場に納まっていきます。


受付を通り、2重暗幕が施された入り口をくぐると、たくさんのカラフルな蝋燭のやさしい光と辛夷(こぶし)の花が描かれた看板が迎えてくれました。
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仏教婦人会の式章には〝辛夷の花〟の文様が彩られています。その由来について説明書きが添えられていました。

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説明によると、親鸞聖人の伴侶となられた恵信尼様のゆかりの花として、辛夷の文様が使われているんだそうです。勉強になります!
参加者も説明書きを頷きながら読まれていました。


場内には大型スクリーンが3台設置されており、大会のロゴがアニメーションで流れていました。

大会のロゴは、「消しゴムはんこ×仏教ユニット」として活動されている「諸行無常ズ」さんがデザインされたものです。
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可愛らしい素敵なデザインですね。記念品も好評のようでした。


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大谷光淳ご門主様ご臨席のもと、開会式が始まります。仏華の大きさに圧倒されます。

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はじめに仏教婦人会の歴史を振り返る回顧映像が流れ、引き続いて仏前に〝おひかり〟をお供えする「献灯」が行われました。
先に紹介した、入り口に施された蝋燭と、こちらの献灯で用いられた蝋燭は、備後教区内のお寺やご家庭のお仏壇で使われた蝋燭の残蝋を集めて、備龍会会員が、ひとつひとつ手作りしました。
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献灯の蝋燭は、バレーボールほどの大きさで、水風船を使って作りました。重さなど持たれる方のことを考えて中を空洞に〝ランタン〟のような作りにしました。

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備後教区内の坊守さんで結成されているコーラス隊の美しい声に導かれ、音楽法要がお勤めされました。


開会式の後、天岸浄圓先生の記念講演に移ります。
講題は「自信教人信のこころ」。

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ユーモアに溢れたお話で、楽しく、そして有り難く、1時間の講演はあっという間に過ぎました。しかし、あらためて「お念仏する者として生きていますか?」と私自身に問いかけられているように感じ、思わず背筋が伸びるようでした。


昼休憩には会場と隣の物品会場とを中継放送でつなぎ、備龍会会員が物品を紹介しました。テレビを見ているような楽しい演出で、昼食中の会場の皆さんからも笑いが起こっていました。
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備後地方の名産品を中心に24店舗が出店されました。

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大盛況です。
備龍会も参加者の購買意欲に一役買ったかも?(笑)


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午後の部は、宗門校の岡山龍谷高等学校太鼓部による軽快な太鼓から始まりました。若さみなぎる力強い演奏に胸が弾みます。

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引き続いて、岡山龍谷高等学校専務理事でパラオ共和国大統領より「教育文化プロモーター」として認定されている中村好孝先生のお話し。映像を用いながらの「笑いアリ涙アリ」のお話しで、先生の巧みなトークに自然と引き込まれます。


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最後に、プロの声楽家の皆さんによる仏教讃歌は圧巻でした。美しいハーモニーに聞き惚れます。何とももったいない優雅なひと時です。
終わりに参加者全員で「念仏」という仏教讃歌を歌い終わると、
「会場の上をご覧ください」
というMCがあり天井を見上げると、天井から紙飛行機が旋回しながら舞い降りてきました。

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写真では少し見えにくいですが、紙飛行機が3000機、約3分の間ゆったりと飛行しました。突然のサプライズ飛行演出と照明効果も重なって、会場は驚きの歓声と拍手で包まれました。

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私も一つゲットできました。福山市は紙飛行機でも有名な町であり、日本で唯一「紙ヒコーキ博物館」があります。

「お念仏の声が、私からあなたへ。そして世界へ広がり、つながっていきますように。」

そんな願いが込められた紙飛行機のプレゼントを受け取りました。


「元気をもらいました」とスタッフに声をかけられる参加者の姿も拝見しましたが、終始、参加者を飽きさせない細かいところへの気配りが届いた素晴らしい大会でした。

実行委員・スタッフみなさん、本当にご苦労さまでした。

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平成28年熊本地震ボランティア活動レポート

7月に入った日の夕方でした。梅雨空の中、いよいよ猛暑が始まるとの情報を県内のプール開きを伝えるニュースで聞きながら、被災地で過ごされる方々のことをふと思い返していました。

その思いに至ったのは4月の地震で大きな被害を受けた熊本を訪れた経験からでした。この暑さの中をどのように過ごされているだろうか… 復興は進んでいるのだろうか… わずかな滞在ではありましたが、被災地「熊本」で見て聞いて感じたことを記させていただきたいと思います。

震災から2カ月近くが過ぎた6月6日に熊本へ向かい、備龍会として2泊3日のボランティア活動をさせていただきました。会員個々においては震災間もない時期に現地に向かった者もいましたが、本震後に途切れることなく続く余震の終息がみえない中、会として被災地に向かう判断がつかず、徐々に震災を伝えるニュースも少なくなった5月下旬に「まだ現地でお手伝い出来る事が何かあるのでは。」と被災地入りを計画したことでした。

現地に向かい最初に見た震災の痕跡は、車窓から見える家々の屋根の上に掛けられたブルーシート。様々な被災地で目にした風景に、現地に足を踏み入れる緊張感を持ちました。

先ず訪ねたのは今回の活動先をご紹介くださった本願寺熊本別院でした。会として募った義捐金をお渡しし、別院のご輪番から被災地の現況を聞かせていただきました。余震の影響で私たちの思っている以上に復興は進んでいないこと、また深刻な被災は局地的であることを知りました。DSC_0520

(熊本別院でご輪番から被災地の現況を説明いただきました。)

※輪番・・・別院を統括する役職。その役職者。

 

翌日、ボランティア活動をさせていただいたのは南阿蘇村の浄林寺さまでした。南阿蘇村はこの度の地震で大きな被害を受けた地域の一つで、15名の方が亡くなられ1名の方は未だに行方不明です。現地までの道中では大規模な地滑りや地割れが散見され、道路は各所で分断され通行止めとなっており、到着に相当の時間を要しました。

浄林寺さまでの作業は集められた瓦礫の撤去でした。殆どが剥がれ落ちた瓦で、瓦礫の量はトラック5杯分にも及びました。しかし備龍会会員10名の他にも別院からの呼びかけで集まられた方々が10名ほどおられ、作業は昼食を挟んで3時間あまりで終了。このような状況下では、人の力、特にたくさんの人が同じ思いを持って動く事が本当に大きな力になると感じました。

この日の作業を手伝いに来られた方の中に自宅が全壊された方がおられ、話を伺うと自宅での作業は一先ず終わったので手伝いに来られたとのこと。自らが被災したことで被災された方の大変さが分かるから助けになりたかったとお話しくださいました。image7

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(大量の瓦礫も徐々に撤去され、きれいになりました。)

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(昼食は各自で用意して行きましたが、浄林寺さまのご厚意でおにぎりや団子汁などをご馳走になりました。大変美味しくいただきました。)

 

作業が終わると、浄林寺ご住職のご厚意により南阿蘇村の被災箇所を案内していただきました。ご住職は自身も被災者でありながら消防団員として被災地で活動しておられ、その体験を踏まえて震災直後の状況をお話しくださいました。倒壊した建築物、大規模な地滑りの痕、崩落した阿蘇大橋、案内していただいた各所で突然に起こる自然災害の恐ろしさとその現象に対する人間の無力さを痛感しました。DSC_0543

(大規模な地滑りの痕)

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(同じ南阿蘇の正教寺さま。山門と鐘楼は完全に倒壊しており、本堂にも大きな被害を受けておられました。)

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(地震の揺れにより倒壊した家屋)

image4(崩落した駐車場の路面とガードレール。阿蘇大橋や東海大学阿蘇キャンパス近辺には深刻な被害が出ておりました。)

 

最終日は、益城町と熊本市内の寺院を訪ね、備後教区少年連盟が取り組んでいる「おさがり袋」をお供えさせていただきました。この取り組みは、お菓子を詰めた袋をお寺のご本尊(阿弥陀さま)にお供えし、その後、お参りに来られている方々におさがりとしてお配りする活動です。袋にはご法話を記し、仏さまにお供えしたお菓子をいただきながら教えにも出遇っていただくことを目的にしています。今回は、この取り組みが余震の続く被災地で不安の中を過ごされる子供さん方の1回の笑顔に変わればという願いを込めて行いました。お寺を回ると皆さん被災の中を一歩一歩前進しようという思いを持っておられました。当初は大きなショックを受けられ、その落胆は相当なものだったであろうと想像します。しかし、そのことを感じさせない朗らかな笑顔や言葉で接してくださいました。DSC_0913

(おさがり袋。中にはお菓子が詰まってます。)

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(おさがり袋をお供えさせていただいた熊本市の浄福寺さま。前震で傾いた本堂は本震で全壊しており、本震前に本堂から運び出されたご本尊や仏具は難を逃れられたとのこと。)

 

今回の熊本来訪で一番強く感じたことは、復興は未だ途上であり、私たちに出来る支援はまだたくさんにあるということです。新聞やテレビなどのマスメディアやSNSで情報を収集する方法は数多ありますが、現地でしか知りえない感じられない情報もありました。

被災地の方々がそれぞれに復興に向いて動き出されるには、その思いを支える力が必要です。それが支援可能な状況にある私たちの役割でもあると思いますし、そのためには被災地を忘れないことや、被災された方々が被災の中で我々同様の日々を生き抜いておられるという現実に思いを寄せることが重要であると気づかせていただきました。

熊本地震から早3ヶ月が過ぎようとしていますが、今でも被災地では様々な苦難の中、復興に向けて1日1日を過ごしておられる方々がいらっしゃいます。その復興の一助となれますよう、これからも会としてどのような支援が出来るかを考え、実行し続けていきたいと感じる貴重な3日間でした。