「吾以外皆吾師也」~コーヒー豆の教え~

同じ商品を買うなら少しでも安いお店で買い、同じ値段なら少しでも程度の良い物を選ぶ。それがお得な選択である。

これは誰しも自然に思うことではないでしょうか。

しかし本当にそれで良いのだろうか。物の価値は市場での相場だけで決まるものなのだろうか。これもまた皆が感じることだろうと思います。

そこで今回は私があらためて価値について考えるきっかけとなった出来事を紹介させていただきます。

皆さんそれぞれの好物があると思いますが、私の好物はコーヒーです。朝目覚めると先ずコーヒー豆を挽いて1日を始めます。その最初の1杯は真夏でもホットで飲みます。コーヒーの芳醇な薫りを存分に味わうためにはホットが相応しいのです。

コーヒー2

(クレマたっぷりのコーヒーは見るからに美味しそう。)

 

また、コーヒー豆を購入する時には、店舗や種類を限定せず色々な豆を試し、自分の好みに合う味を探します。やはり好きだとそのための労力は惜しみません。それも楽しみなのです。

ただし、同じ豆を繰り返し購入する場合のルールはありました。それは普段使い出来る価格であること。毎日飲むものですからこのルールは大切していました。 コーヒー豆袋

 

そういった中で、コーヒー豆を選んでいるとよく目にする商品がありました。レインフォレスト・アライアンス認証と記されたコーヒー豆です。

「レインフォレスト・アライアンス」

このよく見るが意味の分からない言葉を調べてみると、「レインフォレスト・アライアンスは、地球環境保全のために熱帯雨林を維持することを目的に設立された国際的な非営利団体で、主に熱帯雨林や野生動物をはじめ、水資源の保護、当地域で働く従業員の労働環境向上を目指し活動している。」とありました。

そして、生産者の生活向上とともに熱帯雨林の持続可能な管理を目指して、森林や河川の保護、農薬の制限や廃棄物の管理、農民やコーヒー農園で働く労働者の生活向上、子どもたちの教育や医療の保障などの厳しい基準を満たした農園にのみ、その認証を与えていることを知ったのです。

rainforest-alliance

(レインフォレスト・アライアンス認証マーク。)※レインフォレスト・アライアンスは持続可能なコーヒー栽培に取り組んでいる団体の一つです。他にも多くの団体があります。

 

私は毎日のようにコーヒーを飲んでいますが、こだわっていたのは味と値段で、その原料であるコーヒー豆がどのように栽培され、どのような経緯で私のもとへ運ばれてきていたのかについては考えようとしていませんでした。

調べていく中で、コーヒー豆の生産には森林伐採に起因した自然破壊や低賃金での過酷な労働など多くの問題があることを知り、どうせ毎日飲むのなら、少しでも問題解決に繋がるコーヒーを飲みたいという思いに至りました。

コーヒーチェリー

(コーヒーの実はさくらんぼのように赤いので、コーヒーチェリーと呼ばれています。)

 

そしてこのことをきっかけに、コーヒー豆を購入する際には背景を注視するようになり、それはコーヒー豆だけに留まらず様々な物事の見方に広がりました。

無論、経済面を抜きに購入を考えることは出来ませんし、入ってくる情報をそのまま鵜呑みにすることも出来ません。しかし、見方を変えてみることは物事との向き合い方を多様化し、選択の上での大きな働きとなります。

私たちの日々を支えてくれている全てに、目には映らない様々な背景がありますが、そこに心を傾けることが出来れば本当に大切なことにも気づくことが出来る。

と、コーヒー豆に教えられたような気がします。

生豆

(コーヒーの生豆。)

 

焙煎機2(コーヒー好きが高じて自家焙煎を始めました。焙煎直後の豆で作ったコーヒーは透き通ったような味がします。焙煎から1~2日おくと飲み頃になるらしいのですが、私にはその味の違いがよく分かりません…。)

焙煎済コーヒー豆

 

筆者 大淵英範